ベッドシーンの撮影に欠かせないインティマーシー・コーディネーター。だが、シーンの裏側を公の場で明かすと、失職する可能性が出てきた。その背景とは ?
2024年1月に全米で公開された映画『Miller ’s Girl』で、インティマーシー・コーディネーターを務めた人物が、同作の舞台裏を語った 。
それを受け、映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG - AFTRA)は、新たなルールを施行すると発表 。
「 インティマシー・コーディネーターが、作中のベッドシーンについて公に議論すれば、職を失う危険性がある」と述べた 。
インティマーシー・コーディネーターとは、ベッドシーンなどの性的な場面の撮影で、俳優の心身の負担に対する配慮と、制作者の演出意図の実現を両立するために、両者のあいだで調整を担う人物のこと 。
性的な場面の動きなどを決め、場面を演じる俳優だけでなく、作品に関わるすべての人が気持ちよく撮影に参加できるよう、調整を行う役割を持つ 。
映画『Miller’s Girl』では、18歳の高校生カイロ・スウィートを俳優ジェナ・オルテガ(21)が、教師ジョナサン・ミラーをマーティン・フリーマン(52)が演じている。
2月上旬、同作でインティマーシー・コーディネーターを務めたクリスティーナ・アルホナ氏は、英デイリー・メール紙の独占取材に応じた 。
ベッドシーンについて、2人の年齢差が物議をかもしていることについて言及した 。
「 撮影から公開までのプロセスを通じて、ジェナが納得できるものを届けられるよう、多くの人がかかわってきました。ジェナは非常に決意が固く、彼女がやりたいことであると確信していました 」
「 私の仕事の一部は、彼女の決断をサポートすることです。特にこのような俳優同士の年齢差が大きい場合には、俳優が心地よいと感じるよう、サポートするようにしています 」
「 私は2人のタレントをつねに意識、確認し、彼らの"限界"を超えることがないようにしています。また、特に年齢の若い相手に対しては、彼らがベッドシーンに対して、継続的に同意しているのかの確認を取っています 」
ジェナとマーティンとは、「脱ぐか、脱がないか」といったベッドシーンに関する線引きや、どういったシーンが必要かなどについて話し合ったという 。
また、ベッドシーンに関する情報は、シーン撮影の48時間前に書面で俳優たちにも伝えられたという。しかし、『ある場面や要素をやりたくないという意見が出れば、当日にシーンの変更をすることもある』と、選択肢があったことも同氏は明かした 。
しかし、この率直な告白が、ネットでのさらなる議論を呼ぶことに 。
あるネットユーザーは、「教師と生徒の恋愛関係は、現実の世界でもある。しかし映画でそのシーンを描くには、特別な配慮が必要であり、この映画にはそれが欠けている」と指摘 。
実際、アメリカのいくつかの州法では、教師と生徒の性的な関係を一切禁じており、現実世界では法律に関わる問題だ 。
こうした議論の過熱を受け、映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG - AFTRA)は声明を発表 。
DEADLINEの報道によれば、SAG - AFTRAの担当者は、ベッドシーンについて公に話せば、インティマーシー・コーディネーターは失職する可能性があることを意味する、新たなルールを策定したと明かしたという 。
「 インティマーシー・コーディネーターは、情報を保持する俳優の許可がない限り、デリケートなシーンを演じる俳優の仕事とシーンの経験の秘密を守るべきです 」
「 出演者の同意なしに、俳優が演じたデリケートなシーンの詳細やインティマーシー・コーディネーターに託された秘密を公に明かすことは、容認できません 」
「 ただ、ベッドシーンで働くメンバーを保護を確かにするため、インティマーシー・コーディネーターはどの撮影現場にとっても重要な人材です 」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙島海人